関連行事 市民公開講座
第47回日本血栓止血学会学術集会 市民公開講座
テーマ: | 「血が止まりにくい病気とその治療」 |
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日 時: | 2025年6月29日(日)14:00~16:00 |
会 場: | 愛知県産業労働センター 2F 大ホール |
主 催: | 日本血栓止血学会 |
共 催: | ファイザー株式会社 |
プログラム
司 会: | 小嶋 哲人(名古屋大学/愛知健康増進財団) |
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演者1: | 高見 昭良(愛知医科大学血液内科) |
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演 題: | 「血が止まりにくい病気を知ろう ~最新の治療と日常生活のポイント~」 血液が固まる仕組みは、私たちの体を守るうえで欠かせない大切な働きです。しかし、遺伝的要因やさまざまな病気の影響で、血が止まりにくくなる方がいらっしゃいます。代表例としては、血友病など凝固因子が不足する先天性疾患や、血小板の数・機能が低下する血小板減少症や機能低下症が挙げられます。こうした疾患では、外傷時の出血が長引くだけでなく、内出血による関節や臓器の不調から生活の質が低下することもあります。治療法には、不足因子の補充療法や血小板輸血、免疫療法、そして最新の遺伝子治療など、多彩な選択肢があります。本講演では、血友病や血小板減少症をはじめとする疾患の特徴、治療の選択肢、さらに日常生活での注意点などを解説いたします。皆さんと一緒に、より良い生活や治療法を考える機会となれば幸いです。 |
演者2: | 西田 恭治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター血友病科/感染症内科) |
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演 題: | 「女性にとっての異常出血」 出血しやすい体質というのは男女ともにありますが、女性は月経や出産という女性特有の出血を伴うライフイベントのために対応がより必要と言えます。月経過多は女性の社会活動を制限し、貧血やそれに伴う鬱状態をももたらします。それらの健康関連QOL(生活の質)の低下のみならず、過剰な生理用品という経済的負担をも強います。 月経過多の女性の約12 ~ 30%が止血異常症の背景があると海外では唱えられています。それにもかかわらず、我々血液内科医に相談があることは少ないのが日本の現状です。婦人科的原因のない過多月経は、その原因を血液内科的に診断することによってホルモン療法以外の対応策を示す可能性があります。また、その診断が大手術や事故時などの過多月経以外の大出血に対する対応策を示す可能性すらあります。この市民公開講座によって女性の異常出血の原因を特定し、対応策を提示することに繋がれば嬉しく思います。 |
演者3: | 加藤 栄史(福友病院/愛知医科大学) |
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演 題: | 「出血の治療に欠かせない血液製剤と献血」 出血に対する多くの治療は、出血を止める作用を持つ成分を含む製剤を投与する。特に血が止まりにくい病気ではこれらの製剤投与が必須となる。代表的な製剤は血液製剤である。血液製剤とは、血液中に存在する凝固因子(止血作用を有する蛋白)や血小板などを分離精製した製剤である。出血治療の基本として、生体内で不足している成分を補充する事である。しかしながら、不足している成分を血液そのもので補充する事は余分な赤血球などが投与され、患者さんに良くない状態になる事が予想される。従って、必要な各成分に分離精製した血液製剤が出血治療に非常に有効である。但し、血液製剤は、原材料が血液である事から、善意の献血によって賄われ、貴重かつ量が限られている。この事からも適正使用を遵守するのと同時に、安定供給の観点から多くの人に献血をして頂く事が重要である。 |